2011年8月12日付けコラムで紹介しましたように、2011年5月12日に中国で2つの標準が発行され、同年8月1日に発効されました。上述の標準を入手しましたので、気になる部分を確認してみました。
【GB/T26572-2011】
新標準名は「(Requirements of concentration limits for certain restricted substances in electrical and electronic products)」で、SJ/T11363-2006に代わる国家標準です。
標準の構成は次のようになっています。
まえがき
序文
1.範囲
2.引用規格
3.技術用語の定義
4.限度要求
5.検査方法
6.適合性判定規則
付録A(規範性):電子電気製品の分解
付録B(資料性):典型的分解例
付録C(資料性):蛍光X線分析(XRF)の応用事例の技術見本
付録D(資料性):電子電気製品に常用する材料、部品中の制限物質の存在可能性
参考文献
全部で18ページの短い標準です。
検査単位(Test Unit)の解釈がSJ/T11363-2006と違っています。SJ/T11363では、検査単位はA、B、Cの3区分とし、その適合性判定は次のようになっていました。
電位を見つける方法の問題点
構成ユニット | 限度要求 | |
---|---|---|
EIP-A | 電子情報製品を構成する各均質材料 | 特定有毒有害物質はカドミウムが0.01wt%、他は0.1wt%以下とする |
EIP-B | 電子情報製品中の各部品の金属めっき材料 | 特定有毒有害物質は故意に添加してはならない |
EIP-C | 電子情報製品中の既存条件でそれ以上分解できない小型部品・材料で、一般的に4mm3以下の製品 | 特定有毒有害物質はカドミウムが0.01wt%、他は0.1wt%以下とする |
この標準の解釈で、「故意の添加」とは何か、あるいは「4mm3以下」の意味は何か(草案では1.2mm3以下)などが論議を呼び、FAQである「百問百答注)」で示されて納得したものです。
GB/T26572-2011では、5.1項で検査単位分類では、若干の文字変更がありますが、SJ/T11363-2006と同じ定義を示しています。
どのようにトンレイアウト円
検査単位分類 | 適合性判定規則 | |
---|---|---|
EEP-A | 電子電気機器を構成する各均質材料 | 第4章制限要求規定濃度 |
EEP-B | 電子電気機器中の各部品の金属めっき層 | |
EEP-C | 電子電気機器中の既存条件でそれ以上分解できない小型部品・材料 体積4mm3以下の製品(例 チップコンデンサー・チップ抵抗) |
しかし、適合性判定規則の部分は変わっています。第4章の規定の限界要求は「均質材料中で鉛、水銀、6価クロム、PBDE、PBBは0.1重量%、カドミウムは0.01重量%」です。
適合性判定規則には、脚注で「6価クロムはGB/T26125-2011 付録Bの測定方法(別項で解説)で検出されないこと」とされています。また、脚注には、適合性判定では用途の除外に留意するとしています。
変更点は、EEP-B(旧EIP-B)で、「故意の添加」判定から「測定による判定」に変わったことです。ただ、従前でも百問百答で「故意に添加しているのは測定して有意であれば故意とする」としていましたので、大変更とは言えない状況です。
どのような最大量2qe / kはバネの圧縮を行います
注目点としては、付録D(電子電気機器中の常用材料及びコンポーネントに含まれる存在可能性)のある制限物質の表を示していることです。
例えば、「はんだ」では、水銀はL(低)、カドミウムはM(中)、鉛はH(高)、6価クロムはL(低)、PBBsとPBDEsはN/A(不適用)となっています。
付録Dが自主認証実施規則のサンプリング時に引用されています。
なお、参考文献では次の規格類を引用しています。これらとの整合性がとられていると解釈できます。
- IEC/PAS 62596-2009:Sampling procedure-Guidelines
- GB/Z20288-2006:電子電気機器中の有害物質測定-分解要求
- SJ/T11363-2006:制限要求
- SJ/T11365-2006:測定方法
【GB/T26125-2011】
新標準は、「
(Electrical and electronic products - Determination of six regulated substances(lead, mercury, cadmium, hexavalent chromium, polybrominated biphenyls, polybrominated diphenyl ethers))」で、SJ/T11365-2006に代わる標準です。
新標準は、「GB/T26125-2011/IEC62321-2008」となっており、IECの標準の翻訳標準であることを示しています。
まえがき
序文
1.適用範囲
2.引用規格
3.用語の定義、略語
4.試験方法-概要
5.機械的試料調整
6.蛍光X線分析法によるスクリーニング
7. CV-AAS、CV-AFS、ICP-OES及びICP-MSによる高分子材料、金属材料及び電子機器中の水銀の定量
8.ICP-OES、ICP-MS及びAASによる高分子材料中の鉛とカドミウムの定量
9.ICP-OES、ICP-MS及びAASによる金属材料中の鉛とカドミウムの定量
10.ICP-OES、ICP-MS及びAASによる電気機器中の鉛とカドミウムの定量
附属書はA~Hまで8つある。いずれも参考扱いです。
GB/T26572-2011で言及している「6価クロムはGB/T26125-2011 付録B(金属試料の無色及び着色防食被膜中の6価クロムの確認試験)の測定法」は次です。
付録Bの試験手順はスポットテスト(B5.1)と沸騰水抽出法(B5.2)の2方法があります。
●B5.1 スポットテスト
ジエフェニルカルバジド液を試料表面に滴下し、紫色に発色すれば陽性(6価クロム含有)とする。発色しなければ(陰性)とするが、さらに表面をサンドペーパーで軽く擦り傷を付け、滴下をして判定をする。
発色の判定は1mg/kg標準液の発色と比較する。
陽性であれば、皮膜中に6価クロムがあることを示すが、試料の皮膜中の6価クロム濃度としては解釈してならない。
判定結果に確信が持てない場合は、沸騰水抽出法(B5.2)により判定する。
●B5.2沸騰水抽出法
試験材料の表面積を50cm2±5cm2に調整して、50mlの沸騰水中に沈めて10分間(±0.5分)抽出する。冷却後に水を入れて50mlにして、ジエフェニルカルバジド液で発色(赤色)をさせて、ブランク液との差異を見る。
判定が難しい場合は、濃度標準液と試験液を吸光光度計(540nm)で測定し判定する。
このように、B5.1及びB5.2は含有量測定ではなく、含有の有無の定性分析法となっています。
最近の状況は、中国RoHS管理規則の改定、自主認証制度導入など行われており、新たな運用の準備が徐々に具体的に実施されてきています。
なお、SJ/T11388(環境保全使用期限)及びSJ/T11364(表示)の標準は改定されていません。
注)邦訳は以下のURL(日本電気制御機器工業会)に掲載
(松浦 徹也)
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