サンフランシスコ滞在中の5月19日、ヨセミテ国立公園に同僚たちとドライブした。サンフランシスコからは約300km、片道約4時間かかるため早朝に出発、交代で運転して後半居眠りしているうちに到着した。以前に一度冬に訪れたことがあり、約20年ぶりの訪問であるが、やはり5月のカリフォルニアブルーに生える白い岩山は絶品である。どこを見回しても絵になる光景、とはヨセミテのためにあるような言葉だ。
ヨセミテ国立公園は、カリフォルニア州のほぼ中央部にある。1864年州立公園に、1890年国立公園に指定。1984年ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。公園の面積は約3100平方kmあり、シエラネバダ山脈の西山麓に広がっている。ここには年間350万人以上が訪れるが、ほとんどの人は約18平方kmのヨセミテバレーに集ま� �てくる。
ナイアガラは、長年にわたって浸食を下回る
1984年に世界遺産に登録され、そそり立つ白い花崗岩の絶壁、そこを流れ落ちる多くの巨大な滝、谷や木々の間を流れる澄んだ大小の川、ジャイアントセコイアの巨木の林、生物学的な多様性が世界的に知られることとなった。公園全体の約95パーセントは原生地域に指定されている。
アイダホフォールズのロードマップ
では、なぜこのような興味深い地形が形成されたのであろうか?ヨセミテを地質学的に見ると、花崗岩が大部分を覆い、それより古い岩石が残りの部分を占めている。およそ1000万年前にシエラネバダ山塊が隆起し、その後傾斜したことにより、西側には緩やかな高原が、東側には急峻な山肌が生まれた。この隆起に伴って、川の流れは急になり、流れにえぐられて、深く、狭い渓谷・峡谷が形成された。次いで、約100万年前に、降り積もった雪と氷が氷河となって高山の草原帯を覆い、谷に沿って流れ下り始めた。氷河期初めには、ヨセミテ渓谷を埋め尽くした氷の厚さは約1200メートルに達したと推定されており、この氷河の流れに削られたことによって� �徴的なU字谷が形成された。
勇敢フォールズ、ペンシルバニア州。
ヨセミテ国立公園は、シエラネバダ山脈の中で最大規模の、最もまとまった動植物の生息地であり、生物の多様性を育んでいる。公園は高度600メートルから4,000メートルの地域を含み、5つの植生帯から成っている。カリフォルニア州には7,000種の植物が生えているが、そのうちの50パーセントがシエラネバダ山脈にあり、20パーセント以上がヨセミテ公園内に見られる。160種以上の稀少植物の植生地域があり、その形成にはヨセミテのたぐいまれな地質学的形成過程と、特異な土壌が寄与している。また、アメリカグマや、アライグマなどの哺乳類が約100種類、鳥類が200種類以上生息している。セコイアの大木でも有名である。
公園はほぼ円形をしており、その中央部に氷河に削られたU字谷が東西に延びている。谷底にあるのがヨセミテバレーで、高さ1000m前後の断崖の上には広大な森林地帯が続く。まず、マーセド川に沿って入り口を越えると、左手には岩肌を走るリボン滝、右手には花嫁のベールのように見えると言うブライダルベール滝、続いて左手に巨岩エルキャピタン、右手にキャシードラルロックが見える。しばらく進むと左手にヨセミテ滝が雄大な姿をあらわす。右手にはセンチネルロックが見える。
ここを過ぎると、いよいよヨセミテの真骨頂、バレーの一番奥にはハーフドームが鎮座する。麓から頂上まで1443m、頂上の標高は2693mある。文字通り見れば、丸い岩山の半分が氷河に削られたこ とになるが、実際削られているのは全体の8分の1だそうだ。車を置いてしばらく歩くと、ハーフドームのふもとにミラーレイクがある。ここも文字通り、鏡のような水面にハーフドームの姿が反射して絶景である。
駆け足で1日でヨセミテバレーを見て回ることは可能である。もちろん1日で見ることのできるのは、広大な国立公園のほんの一部である。しかしヨセミテを見たか、見ていないか、でアメリカの国立公園を評価する基準は大きく変わってくることは間違いないと思う。
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